着圧ソックスは効果ある?強い圧ほど効くのか研究から解説

「強力着圧」と書いてあるほど効くのか
ドラッグストアにも通販にも、着圧ソックスや着圧レギンスが並んでいます。
パッケージには圧の数字が書いてあります。何hPa、何mmHg。数字が大きいほど効きそうに見えます。
鹿児島市で整体院を開いている、理学療法士の立切大智です。立ち仕事やデスクワークの方から、足のむくみやだるさの相談をよく受けます。
調べてみると、圧の強さについて、少し意外な結果が出ていました。
そして目的によって答えが変わります。 運動後の回復と、立ち仕事のむくみでは、違う結論になっていました。
結論:効果はある。ただし「強いほど良い」ではない
要点は4つです。
- 運動後の回復には小さな効果がある(効果量0.38)
- ただし圧の強さで差がつかなかった。15mmHg未満でも以上でも同じだった
- 立ち仕事のむくみでは、圧が強いほうが減った。ただし着け心地は弱いほうが良い
- 夜中に足がつるのを減らすという研究は、見当たらなかった
目的が違えば、選ぶものも変わります。 「とにかく強いものを買えばいい」ではありません。
まず、医療用と市販品は別物です
ここを分けておかないと、話が混ざります。
医療用の弾性ストッキングには、確立した使い道があります。
- 静脈性潰瘍に対する圧迫療法
- 深部静脈血栓症の予防
- 下肢静脈瘤や慢性静脈不全の管理
これらはガイドラインに載っている使い方で、医師が必要性を判断して使うものです。
一方、ドラッグストアで買える着圧ソックスは、疲れ・むくみ対策の日用品として売られています。
同じ「圧をかける」でも、目的も圧の設計も違います。 以下は市販品に近い使い方の話です。
運動後の回復:効果は小さい

Brownらのメタ解析(Sports Med, 2017)は、健康な人を対象にした23の研究をまとめたものです。
全体の効果はこうでした。
| 項目 | 効果量 | 95%信頼区間 |
|—|—|—|
| 全体 | 0.38 | 0.25〜0.51 |
| 筋力の回復 | 0.62 | 0.39〜0.84 |
| 2〜8時間後 | 1.14 | 0.72〜1.56 |
| 24時間より後 | 1.03 | 0.48〜1.57 |
0.38は「小さい効果」にあたる大きさです。ただし筋力の回復に絞ると大きくなり、特に2〜8時間後と、24時間より後で目立ちました。
筋トレのあとに着ける使い方が、最も効果が出ていました(効果量0.49、24時間より後では1.33)。
ここが意外なところです
同じ論文が、圧の強さを比べています。
> 15mmHg未満のグループと、15mmHg以上のグループで、効果に差がつかなかった(p=0.06)
鍛えている人かどうかでも差はありませんでした(p=0.64)。
「強力着圧」という売り方の根拠は、この研究からは出てきません。
数字が大きいほど締めつけは強くなりますが、回復の効果がそれに比例して上がるわけではない、という結果です。
なお、著者の1人は企業の研究機関(GSK Human Performance Lab)に所属しています。利益相反として開示されている情報で、それ自体が問題というわけではありませんが、読むときに知っておいてよい点です。
立ち仕事のむくみ:こちらは圧が効きました

Lugerらの研究(Appl Ergon, 2025)は、ドイツのチュービンゲン大学のグループによるものです。
- 健康な32名と、慢性静脈不全のある12名
- 2時間、立ったまま過ごす
- 無作為化クロスオーバーで3条件を比較
| 条件 | 圧 |
|—|—|
| 着圧なし | — |
| クラスI | 18〜21mmHg |
| クラスII | 23〜32mmHg |
むくみは水置換プレチスモグラフィと生体電気インピーダンスで測定しています。見た目ではなく器械で測っています。
結果です。
- どちらのクラスでも、むくみが有意に減った
- クラスIIで、むくみが最も少なかった
- ただし着け心地はクラスIのほうが良いと評価された
論文は「長期的に続けるならクラスIのほうが向いている可能性がある」と結論しています。
むくみでは圧が効く。でも強いと続かない。 ここが現実的な落としどころです。
運動後とむくみで、答えが逆になります
整理するとこうです。
| 目的 | 圧の強さは効くか |
|—|—|
| 運動後の回復 | 差がつかなかった |
| 立ち仕事のむくみ | 強いほうが減った(ただし続きにくい) |
同じ道具でも、何のために使うかで選び方が変わります。
「どれを買えばいいか」の前に、「何を減らしたいのか」を決めるほうが先です。
夜中に足がつるのは減るのか

当院でも「着けて寝たら、夜に足がつらなくなった」という声を聞くことがあります。
調べましたが、着圧ソックスと夜間のこむら返りを直接調べた研究は見当たりませんでした。
「研究がない」は「効かない」という意味ではありません。 ただし、効くと言える根拠も今のところない、というのが正確なところです。
周辺の研究では、定番に疑問が出ています
こむら返りといえばマグネシウム、という話をよく聞きます。
Garrisonらのコクラン・レビュー(2020)は、11試験735名をまとめたものです。結論はこうでした。
> 高齢者の骨格筋けいれんに対して、マグネシウムの補給が臨床的に意味のある予防効果をもたらすとは考えにくい
妊娠中のこむら返りについては、文献の結果が一致しておらず、さらなる研究が必要とされています。
2024年に話題になった研究について
2024年12月に、ビタミンK2がこむら返りを減らしたという無作為化試験が有名な医学誌に掲載され、話題になりました。
この論文には、2025年7月に「撤回と差し替え」の通知が出ています。
何があったのかは公開情報からは読み取れませんでした。数字をそのまま信じるのは、今は避けたほうがよいと考えています。
こむら返りそのものについては夜中に足がつる原因は?こむら返りの対処法にまとめています。
医療機関へ行くべき場合と、当院で対応できる場合
まず医療機関へ
- 片足だけが急に腫れた、熱を持っている、赤くなっている(血栓の可能性)
- 足の色が悪い、冷たい、毛が抜ける
- 歩くとふくらはぎが痛くなり、休むとまた歩ける(動脈の問題の可能性)
- 足に潰瘍や、長く残っている傷がある
- むくみが急に強くなった、体重が短期間で増えた
- 息切れや動悸を伴う
動脈の血流が悪い方に着圧ソックスを使うのは危険です。 判断がつかない場合は、使う前に医師にご確認ください。
歩行中のふくらはぎの症状については間欠性跛行とは?歩けない原因と改善の歩き方もご覧ください。
当院で対応できること
- 夕方になると足が重い、だるいが、検査では異常がないと言われた
- 立ち仕事・デスクワークで、足の使い方や姿勢に心当たりがある
- ふくらはぎがいつも張っている
- 歩き方が気になる
むくみは、足だけの問題とは限りません。 ふくらはぎの筋肉が動いていないと、血液を戻すポンプが働きません。立ち方・歩き方・足首の動きが関わっていることがあります。
選び方
- 目的を決める。 運動後なのか、立ち仕事のむくみなのかで選ぶものが変わります
- 立ち仕事のむくみなら、まずクラスI(18〜21mmHg)相当から。 研究でも着け心地が良く、続けやすいと評価されています
- 運動後の回復が目的なら、圧にこだわらない。 差がつかなかったからです
- 続けられるかで選ぶ。 きつくて履かなくなるなら、効果はゼロです
- サイズを測る。 圧はサイズが合って初めて設計どおりになります
- 朝、むくむ前に履く。 むくんでから履くのは大変です
そのうえで、足そのものを動かすことが土台になります。
- かかとの上げ下ろしを、座ったままでも1日数回
- 足首をゆっくり大きく回す
- 1時間に一度は立つ、歩く
足まわりの市販品についてはインソールは効果ある?足・腰・膝への研究と限界にもまとめています。
かごしま整体 心晴。のアプローチ
鹿児島市の当院では、理学療法士が足首・膝・股関節・骨盤まで含めて動きを評価します。
足の重さやだるさの相談では、ふくらはぎの筋肉が歩行のなかで使えているか、足首が十分に動いているか、立ち方で片側に体重が乗り続けていないかを確認します。
理学療法の考え方をもとにした評価と、セルフケア・日常生活指導を行います。
ただし、着圧ソックスの販売はしていません。特定の商品をおすすめすることもしていません。
足の症状全体の考え方は足の痛みの原因と整体でのアプローチにまとめています。
よくある質問
Q. 着圧ソックスは効果がありますか?
23研究をまとめたメタ解析では、運動後の回復に効果量0.38の小さな効果が報告されています(Brown 2017)。立ち仕事のむくみについては、2時間の立位でむくみが有意に減ったという試験があります(Luger 2025)。
Q. 圧は強いほうがいいですか?
目的によります。運動後の回復では15mmHg未満と15mmHg以上で差がつきませんでした。一方、立ち仕事のむくみではクラスII(23〜32mmHg)のほうがむくみが少なくなりました。ただし着け心地はクラスI(18〜21mmHg)のほうが良く、続けやすいと評価されています。
Q. 夜中に足がつるのに効きますか?
着圧ソックスと夜間のこむら返りを直接調べた研究は、今回調べた範囲では見当たりませんでした。効果があるとも、ないとも言えない状態です。
Q. マグネシウムを飲めばこむら返りは減りますか?
11試験735名のコクラン・レビューでは、高齢者に対してマグネシウムが臨床的に意味のある予防効果をもたらすとは考えにくい、と結論されています。妊娠中については文献が一致していません。
Q. 寝るときに履いてもいいですか?
市販の着圧ソックスには日中用と就寝用があり、圧の設計が違います。日中用を着けたまま寝ると締めつけが強すぎることがあるため、製品の表示を確認してください。動脈の血流に問題がある方は、使う前に主治医にご確認ください。
まとめ:目的で選ぶ。強さでは選ばない
- 運動後の回復には小さな効果がありました(効果量0.38)
- 圧の強さでは差がつきませんでした(15mmHg未満と以上で同じ)
- 立ち仕事のむくみでは、圧が強いほうが減りました
- ただし着け心地はクラスIのほうが良く、続けやすいと評価されています
- 夜間のこむら返りへの効果を直接調べた研究は見当たりませんでした
- マグネシウムは、高齢者では予防効果が期待しにくいとされています
- 片足だけの腫れや、歩くと痛むふくらはぎは、まず医療機関へ
「強力着圧」を選ぶ理由は、研究からは出てきません。
立ち仕事のむくみ対策なら圧が効きますが、きつくて履かなくなっては意味がありません。 続けられるものを選ぶほうが、結果的に効きます。
足の重さやだるさが続く方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
Brown F, Gissane C, Howatson G, van Someren K, Pedlar C, Hill J. Compression Garments and Recovery from Exercise: A Meta-Analysis. Sports Med. 2017;47(11):2245-2267. doi:10.1007/s40279-017-0728-9(PMID: 28434152)
Luger T, Bott N, Seibt R, et al. Influence of compression stockings with different compression classes on lower leg edema and perceived discomfort during a two-hour static standing exposure – a pilot study. Appl Ergon. 2025;129:104621. doi:10.1016/j.apergo.2025.104621(PMID: 40818417)
Garrison SR, Korownyk CS, Kolber MR, et al. Magnesium for skeletal muscle cramps. Cochrane Database Syst Rev. 2020;9(9):CD009402. doi:10.1002/14651858.CD009402.pub3(PMID: 32956536)
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