電気治療は痛みに効果ある?低周波・TENSのメリットと限界を理学療法士が解説

整骨院の電気や家庭用低周波が気になる方へ
「整骨院で毎回電気を当てられるけど、これって効いてるの?」
「家庭用の低周波治療器を買ったけど、意味あるのかな」
電気施術について、そんな疑問を持ったことはありませんか。
この記事では、鹿児島市の整体院の理学療法士が、電気治療(低周波・TENS)で期待できること・その限界・安全に使うための注意点を、誇張せず正直に解説します。
結論|電気治療はこう考えてください
【結論】
- TENSなどの電気は、使っている間や直後に痛みを感じにくくする助けになることがある
- ただし、痛みの原因や再発しやすさまで変えるとは限らない
- 電気は単独で万能ではなく、補助的な選択肢として捉えるのが現実的
- ペースメーカーなどを使用している方は、自己判断で使わず主治医に確認を
電気治療とは?TENS・EMS・干渉波・低周波の違い

一般に「電気治療」「低周波」と呼ばれるものには、いくつか種類があり、目的が異なります。
- TENS(経皮的電気神経刺激):痛みを感じにくくすることを目的とした代表例
- EMS:筋肉を収縮させることを目的とした電気刺激
- 干渉波:整骨院や医療機関などで使われることがある電気刺激の方法の一つ
- 低周波:低い周波数の電気を使う機器の呼び方。家庭用機器にはTENS的なモードもEMS的なモードもあり、TENSと完全に同じ意味ではありません
この記事では主に、痛みの緩和を目的としたTENSや低周波機器について解説します。
電気で痛みが和らぐのはなぜ?
TENSでは、皮膚の感覚神経を刺激することで、痛みの信号の伝わり方や痛みの感じ方が変わると考えられています。その説明の一つが「ゲートコントロール理論」です。触覚などの刺激が加わることで、痛みの信号が脳へ届きにくくなる、という考え方です。
ただし、これはあくまで「痛みの感じ方」への一時的な変化と考えられており、痛みの原因そのものを取り除くわけではありません。
電気治療で期待できること
- 使っている間や直後に、その場で痛みを感じにくくなることがある
- 心地よく、リラックスできる
- 受け身で受けられ、体への負担が少ない
- 薬を使わずに痛みをやわらげる選択肢の一つになる
研究でも、TENSは使用中や直後の痛みを、プラセボ(見せかけの刺激)より軽くする可能性が報告されています。「その場で楽になる」という体感には、一定の裏づけがあります。
電気治療だけで痛みの原因は変わる?
ここが最も大切なポイントです。電気で痛みが軽くなることはありますが、それだけで姿勢・動作・筋力・睡眠・仕事環境などの背景まで変わるとは限りません。
「電気を当ててもらうと楽だけど、またすぐ元に戻る」という経験がある方も多いのではないでしょうか。これは、電気が一時的な痛みの緩和を助ける一方で、痛みを繰り返す背景にはアプローチしていないことが一因と考えられます。
慢性腰痛・肩こりへの効果は?

長く続く痛みへの効果については、研究でも結論が分かれています。2008年のCochraneレビューでは、慢性腰痛に対するTENSを日常的な標準対応として支持する根拠は十分ではない、とまとめられています。
一方で、2022年の大規模なレビュー(381研究)では、TENSは「使っている間や直後」の痛みをプラセボより下げるという中等度の確実性の結果が示されました。
つまり、「使用中・直後の一時的な鎮痛補助」としては可能性があるが、慢性的な痛みの原因や再発まで変える効果が一貫して示されているわけではない、と整理するのが正確です。電気は「万能な解決策」ではなく「補助的な手段」と考えるとよいでしょう。
家庭用低周波治療器を使う前に確認したいこと

家庭用機器はメーカーごとに周波数・モード・使ってはいけない条件が異なります。具体的な設定や貼る位置は、必ず製品の説明書に従ってください。そのうえで、次の点に注意しましょう。
- まず添付文書(取扱説明書)を確認する
- 痛みを我慢するような強さにしない
- 皮膚トラブルがあれば中止する
- 変化がない・悪化する場合は、漫然と続けない
- しびれや脱力がある場合は、自己使用より受診を優先する
電気治療を避けたい場合・医療機関へ相談したい症状
⚠ 電気施術・家庭用低周波の使用に注意が必要な場合
- ペースメーカー・植込み型除細動器などを使用している方:機器に影響する可能性があるため、自己判断で使わず主治医に確認してください
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある方:使用部位や目的によって注意が必要です。自己判断で腹部・腰部に使用せず、産科医などに確認してください
- 首の前側・頭部・胸部への自己使用は避ける(心拍や呼吸に影響するおそれ)
- 傷・湿疹・皮膚炎・感覚が鈍い部位には使わない
- 入浴中・運転中・睡眠中は使用しない
- 電極部に強い赤み・かゆみ・痛みが出たら中止する
また、しびれ・脚の脱力・原因不明の強い痛みがある場合は、電気でしのぐ前に、まず医療機関で原因を確認してください。




